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職場におけるメンタルヘルス不調者への対応 ~産業医へのつなぎ方~

職場におけるメンタルヘルス不調者への対応 ~産業医へのつなぎ方~

職場でメンタルヘルス不調者が発生した際、どのように対応されますか?

産業医を選任している事業場では「まず産業医に繋ぐ」という対応が一般的だと思われます。では、産業医に面接や相談を依頼する際に、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。今回は、従業員と会社の双方にとって納得感のある産業医面接を実現するために、必要なことについて解説いたします。 産業医を選任していない事業場でも医師への相談が必要なケースはございますので、今回扱う「産業医」という単語を「面接担当医師」と読み替えて頂いても結構です。

産業医面接の申し入れ

産業医に面接を依頼する際、何らかの目的をもって依頼をされると思います。
「休業中の社員を復職させるにあたり、産業医の意見を聞きたい」「勤怠が乱れている社員がおり、メンタルヘルス不調のように思われる。今後の対応について意見を聞きたい」「社員本人が個人的に産業医に相談を希望している」等々、様々なケースがございます。
単に「従業員のメンタルヘルスケアについての相談」とするより、先ほどのように相談目的を明確にして頂いた方が、面接において産業医が評価すべき内容が明確になります。

また、面接時間は1回30分や60分など限られた時間の中で行いますので、従業員(来談者)の情報を予めご提供頂くと、産業医がヒアリングする時間が短縮出来、より多くの時間を来談者の話を聴くことに充てられます。
「性別」「年齢」「職種」「職位」「入社歴」「初めての相談か、あるいは2回目以降か(その場合、前回の相談はいつか)」「直近の健康診断結果票」などが必須情報と言えます。

メンタルヘルス不調本人による申出の場合 ~主訴は何か~

次に、産業医への情報の伝え方です。産業医面接は「従業員本人からの申出」により実施する場合と「会社の判断(指示)」によって行う場合とに分かれます。

「従業員本人からの申出」の場合、確認したいことは「主訴」 です。主なお困りごとと言い換えてもいいかもしれません。「頭が痛い」「胃の調子がおかしい」「食欲がない」「眠りが浅い」「疲れている」「イライラする」「モヤモヤする」…など、ご本人が何らかの異変を自覚し相談を希望されるはずですので、お困りごとの内容についてご確認頂く必要があります。お困りごとの原因についてはわかる範囲でご提供頂ければ結構です。
原因は人それぞれですし、産業医以外には知られたくないケースもあると思われます。そういう場合は深追いせず、サラリとしておきましょう。

会社の判断による場合 ~疾病性と事例性~

次に、会社の判断により面接を依頼する場合です。
上司や同僚が異変に気付き、従業員のメンタルヘルス不調を疑って産業医に繋ぐ際のポイントは、情報を「疾病性」と「事例性」とに分けて考えることです。

「疾病性」とは疾病の有無や症状の程度に関することです。「幻聴がある」「精神的におかしい」など、病気であるか否かという判断が含まれますので、「疾病性」については本来、医師や専門家が判断をするものです。「既に適応障害の診断が出ている」「3年前にパニック障害を発症している」などの情報が会社で把握出来ている場合にはご提供頂くと良いです。

一方、「事例性」は業務遂行に支障を来す事柄です。具体的には「欠勤や遅刻が増えた」「ミスが続く」「顧客からのクレームが多い」などです。職場の上司や同僚が客観的に把握出来る情報です。ほかにも「感情の起伏が激しい」「仕事中に泣く」「発言する内容がおかしい」などの気になる点がありましたら「事例性」の情報と合わせてご提供ください。このような事前情報を元に、産業医は見立てをもって面接に臨むことが出来ます。

また、会社担当者からメンタルヘルスケアが必要だと思われる従業員に産業医面接を促す際には、疾病性ではなく事例性を理由にして頂くことが望ましいです。「最近調子悪そうだね。うつ病かもしれないから産業医に相談するといいよ。」と言ってしまうのは、親切のつもりでも不快にさせてしまう恐れがあります。「遅刻が続いているし、ミスも増えているけれど、どこか調子が悪いのかな。産業医に相談してはどうかな。」 と伝えた方が、よりスムーズに産業医に繋ぐことが出来ます。

職場復帰の可否について意見を求める場合 ~主治医の診断の必要性~

うつ病などで休職中の従業員を職場復帰させる際、産業医に意見を求めた上で復帰の可否を決定される企業様も多くございます。その際にご注意頂きたい事は「主治医は職場復帰を認めているか(診断書に記述されているか)」という点になります。
休業期間中に診療を担当した主治医の診断は、産業医が意見を述べる上で不可欠なものです。職種によっては内服中の薬の副作用により業務に就けない場合もあります。「お薬手帳」や「生活記録」のご提出をお願いするケースもございますので、面接にあたりどのような書類が必要かを早い段階で産業医にご確認頂くことをお勧め致します。

休職中の従業員が突然職場復帰を申し出て、必要な書類が揃わない中で産業医面接の申し入れをされるケースもございますが、拙速に対応してしまうことでかえって復帰のタイミングが延びてしまう事も起こり得ます。職場復帰に関しては復帰の見込みが出てきた段階から会社は主治医と連携し、産業医面接までに必要な書類を整えて頂く必要がございます。休職の開始から復職に至るまでのフローや規程を事前に整えておかれることをお勧め致します。

職場における従業員のメンタルヘルスケアについて、詳しくは「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(厚生労働省 ※」をご参照頂くと良いと思います。主治医、産業医、会社、従業員それぞれの連携や、どのタイミングでどのような情報を収集すべきか解説されております。

※「(厚生労働省:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00005.html

最後に

大企業では、安全衛生専門の課があり、対応に慣れた方が産業医やカウンセラーに繋ぐ役を担当されている場合が多いと思います。一方、中小企業や小規模の事業場におかれては、安全衛生専門ではない方が本来業務の傍らで従業員の健康問題に対処されているケースが多いのではないかと思われます。「お一人で抱え込まない事」「適切なタイミングで適切な専門家に繋ぐこと」以上の2点を弊社からのご提言として、このブログを締めくくりたいと思います。

日本産業医支援機構では、「嘱託産業医業務の受託」のほか、「50人未満の小規模事業場向けの産業保健サービス」、「スポットの産業医面接サービス」などをご提供しております。産業保健体制の見直しを検討されている企業様、従業員様の健康管理についてお困りごとを抱えておられる企業様からのお問い合わせをお待ちしております。

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