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衛生委員会の役割とは? 目的、設置基準、ルール等の基礎知識

衛生委員会の役割とは? 目的、設置基準、ルール等の基礎知識

本来は常時働く従業員の人数で労働安全衛生法の義務が違うこと自体に問題があるかもしれませんが、
労働安全衛生法の義務の多くは、事業場の人数規模や業種に応じて決められています。
常時使用する労働者数が10人以上、50人以上、有害業務を取り扱う500人以上、1,000人以上、3,000人以上などが区切りの数字になります。

従業員数50人以上の事業場に設置が義務づけられているものの一つが、衛生委員会です。
この記事では、衛生委員会の目的や設置基準、ルール、メンバー選定、実施方法等、衛生委員会の基礎知識について解説します。
(引用:『健康リスクから会社を守る!!』 税務研究会出版局)

そもそも衛生委員会とは?

労働安全衛生法18条に「事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。」という規定があります。業種を問わず、常時50人以上の労働者が働く会社は、衛生委員会の設置が必要です。
衛生委員会とは、労働者の健康障害を防止する対策に関すること・健康の保持増進を図る為の対策に関すること・労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関することなどを使用者と労働者が話し合う、法律によって定められている大切な場です。

衛生委員会を設置する目的

衛生委員会を設置する目的は、労使が一体となり、職場の労働災害を防ぐことです。
働く環境や業務内容によっては、労働者に健康被害や労働災害が起こる可能性も少なくありません。これを防止するためには、使用者と労働者が協力し合い、防止に取り組む必要があります。そのため、定期的な開催により調査審議を行うことが求められており、月に1回以上必ず開催し、職場の環境について話し合い、調査審議した結果を従業員にも報告します。
働き方改革が進められるなか、労働者自身が主体的に健康について考え、改善案を提案できる衛生委員会という場は、ますますその意義と重要性が増していると言えます。

衛生委員会を設置する基準

労働安全衛生法により、「安全委員会」を設置する義務がある事業場もあります。安全委員会では労働者の安全や危険がテーマになります。
業種によって「衛生委員会」と「安全委員会」の設置が義務付けられており(図表2-1)、衛生委員会と安全委員会を同時に開催した場合には「安全衛生委員会」となります。

対象となる業種と常時使用する労働者人数によっては、衛生委員会と安全委員会の両方を開催しなければなりません。その際は、それぞれ個別に開催するのではなく、「安全衛生委員会」として開催されるのが一般的です。

そもそも労働者50人以上の事業場とは?
まず、誰を労働者として数えるのかについて確認しておきましょう。
労働安全衛生法での事業場の労働者数とは正社員だけのことではなく、契約社員、パート社員・アルバイト社員などの直接雇用社員、出向社員、派遣社員などその事業場で働く労働者全部を含めたものを指します。常態として働く社員はすべて含むもので、50人を超えた時点で速やかに設置準備を行わなければなりません。

衛生委員会に関するルール

衛生委員会に関するルールについて紹介します。

毎月1回以上開催し、業務時間内に実施する

衛生委員会は、毎月1回以上開催することが法律上も必要になります。
昼食を食べながら実施する事業場もありますが、原則として衛生委員会は休憩時間ではなく、業務時間内に実施しなければいけません。参加する労働者の業務に支障がない時間を見計らって時間を調整し、「第〇水曜日の〇時から」のようにあらかじめ日時を決める方法がよいでしょう。毎回開催日時を変更してしまうと欠席者が増え、各委員のモチベーションが下げってしまう可能性がありますので注意が必要です。産業医の訪問日に合わせて開催する会社も多いです。なお、委員会の審議時間の制限はありませんが、充実した審議やモチベーションを継続するために、審議の時間は30分程度が望ましいと言えます。

議事を作成し、議事の概要を労働者に周知する

事業者は、委員会における議事の概要を社員に周知させなければならない義務があります。
開催後は速やかに議事録を作成の上、周知します。ただし、個人情報やプライバシーに注意することが重要で、デリケートな意見については発信者が特定されないような配慮が必要です。なお、周知方法に決まりはありません。休憩室等に貼る・誰もが確認できるフォルダに保存する・メール配信する・社内のイントラネットで公開するといった方法が一般的です。

議事録を3年間保存する

前述の通り、開催後は議事録を作成しなければなりません。作成した議事録は、産業医らが捺印(または署名)をし、3年間保存することが必要です。労働基準監督署の立ち入り検査では議事録の確認も行われるため、作成と保管は必ず行いましょう。

衛生委員会のメンバー構成と選出方法

衛生委員会のメンバー構成については決まりがあります。
まず、厚生労働省が定めるルールは次の通りです。
1 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者等(1名) 
2 衛生管理者※
3 産業医※
4 労働者(衛生に関する経験を有する者)※
※ 1以外の委員については、事業者が委員を指名することとされています。

衛生委員会の議長は一人で、事業を総括するレベルの方が議長になります。なお、総括安全衛生管理者は、安全委員会のない会社では必要ありません。
その他の委員については、事業者が委員を指名することとされており、このうちの半数は労働組合または労働者の過半数を代表するも者の推薦に基づき指名しなければなりません。
希望者は非常に少ないため、組合、労働者の代表者に負担をかけないために、会社が候補をリストアップして同意を求め任命するやり方がよく行われています。

最低の委員数は議長も含めて5人となりますが、委員数に制限はありません。
議長を除く会社側と従業員側の委員数は同じにします。意見が同数となった場合には議長が参加して決議を行います。一般的に労使同数ですので、議長を加え5〜7名ほどです。

・5人の例 
〇議長(会社役員等権限のある方)
〇会社側医:産業医・衛生管理者
〇従業員側:従業員2人 ※
 従業員側に一般社員の参加はありますが、会社側には産業医を除くと衛生管理者しかいません。

・7人の例 
〇議長(会社役員等権限のある方)
〇会社側医:産業医・衛生管理者・健康管理スタッフ
〇従業員側:従業員3人 ※
 望ましい最低限の人数と言えます。義務付けはありませんが、委員会の運営や議事録作成のため
 事務局を置くことがあります。ただし、事務局の担当者には議決権はないことになります。

※従業員は、例えば、「男性・女性」「内勤・外勤」「ホワイトカラー・ブルーカラー」等、異なるタイプの人を選ぶとよいでしょう。

衛生委員会における各メンバーの役割

衛生委員会のメンバーは、それぞれに役割があります。具体的にどのような役割を果たすのか紹介します。

議長

議長は司会進行役として重要な役割を果たします。メンバーに積極的な意見を促し、結論をまとめなければなりません。役員・人事部長など責任ある立場の人が議長を務めることで、審議された課題を解決するための行動がとりやすくなります。
議事進行は議長が出欠を取り、職場巡視の結果報告を受け、4S活動(整理・整頓・清潔・清掃)・職場環境の問題を洗い出し、改善に向けて議論・対策を立てていきます。前回の指導事項が改善したかどうかを確認し、出来ていなければ議長が関係者に催促します。また、休職者の状況や感染症患者が増えていないか確認し、場合によって注意喚起の方法を議論していきます。長時間労働に関する審議の後、あらかじめ決めた議題を討議し、産業医のコメント、(必要な場合は)講話、最後に次回の日程や議題を確認するといった流れが一般的です。

産業医

常時50人以上の労働者がいる事業場では、産業医の選任が必要となります。専門家の視点から意見を述べることができる産業医は、会社の安全衛生において重要な立場です。職場の問題点を的確にとらえ、積極的に改善案を出してくれるような医師を選任するとよいでしょう。産業医は衛生委員会のメンバーですが、参加は義務とはなっていません。しかしできるだけ参加してもらうのが理想です。また参加できない場合でも議事録を確認し、コメントとサインをしなければなりません。

衛生管理者

衛生管理者には、会社の衛生全般を管理する役割があります。産業医と同じく、常時50人以上の労働者がいる事業場では資格を持った衛生管理者が必要です。衛生管理者は「第一種衛生管理者」もしくは「第二種衛生管理者」の資格が必要で、第一種衛生管理者はすべての業種で衛生管理者になれますが、第二種衛生管理者は、一般の事務所など危険業務や有害業務と関連の少ない業種でのみ衛生管理者になれる資格です。産業医とも連携して職場の安全衛生を管理する役割をもつため、職場の環境を熟知している従業員(役職者以外)が望ましいと言えます。

衛生委員会の議題・テーマ

議題・テーマですが、会社の事情や業種に応じて決めることになります。
特に重要性が高い長時間労働対策と、全員参加型の衛生委員会を目指すために4S活動を毎月取り上げ、それに季節的なテーマや健康診断・メンタルヘルス・ストレスチェック・禁煙といった年に1回は必ず議論すべきもの、従業員の関心の高い腰痛や肩こり、腱鞘炎(VDT症候群)といった職業病を織り込んで年度計画を立てるのが一般的なやり方と言えます。その事業場や仕事に特有の病気や症状、健康問題、安全上の課題を取り上げるとよいでしょう。

例えば、パソコン作業が多ければ肩こりや腱鞘炎、建設作業員であれば腰痛、繁華街の百貨店ではねずみ対策についてといった議題が挙げられます。出席者も関心を持って審議に参加できるでしょうし、委員会で対策が立てられる可能性があるからです。
衛生委員会には産業医、産業保健師などが参加しているケースも多いのですが、その場合は専門家の視点から従業員の健康の状況や職場のありようについてアドバイスや問題が提起されることもあります。

まとめ

法的に会社に開催が義務付けられている会議は、役員会・株主総会・衛生委員会等で、実は非常に少ないのです。衛生委員会は労働災害の防止や職場環境の改善を通し、労働者の健康を維持・増進することを目的としており、ただ開催すればいいというわけではなく、衛生環境や労働者の健康保持に有益な議論が交わされ、その内容が現場に反映されなければなりません。企業の健康配慮義務も重視され、働き方改革も本格始動していますので、よりよい労働環境づくりのため、実効性のある運営ノウハウの蓄積と活性化が求められています。

日本産業医支援機構では、経験豊富な産業保健コンサルタントが、意外と手間のかかる衛生委員会の立ち上げを法律にも適合した形で一からお手伝いいたします。立ち上げ後のサポートの一つとして、産業保健に関する旬な情報を「健康ニュース」として毎月ご提供、そのほか担当者のお困りごとなども解決していけるようご支援いたします。ちょっとしたご相談やご質問などございましたら、お気軽にホームページまたはお電話にてお問合せください。

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